2月19日にIELTSを共同運営するIDP Educationが初の公認模試「IDP Education IELTS 公認模試 4回分(かんき出版)」を出版しました。そこで私たちは、出版の背景や書籍の特徴、スコアアップを達成するための効果的な活用方法などを探るべく、IDP Education Japanへ直接インタビューを行いました!
インタビュー前半では、IDP Education日本統括の市川さん、IDP IELTS Expertであり公認模試のスピーキング問題作成にも携わったColleenさんに、公認模試に込めた想いや日本人受験生への期待についてお話を伺うとともに、効果的な活用方法を教えていただきました。
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インタビュー後半では、IDP IELTSエキスパートであり、本書のスピーキング問題の作成に携わったColleenさんに、エキスパートの視点から、特に日本人受験者が苦戦するスピーキングテストの対策方法や、テスト中に意識すべきポイントなど具体的なアドバイスを教えていただきました。
この記事を読めば、公認模試の活用法やスピーキングテスト対策のポイントがわかり、スコアアップに向けて自信を持って対策を進められます。オーバーオール6.5以上を目指す方だけでなく、IELTSを受験しようと思っている方、受験予定の方もぜひチェックしてください!

IDP Education 日本統括責任者市川 智子さんクイーンズランド工科大学院卒。帰国後は英語学校の法人営業を経て、在日オーストラリア大使館で教育担当商務官として15年間、日豪間の教育連携に従事。2019年、IDP Education日本法人の立ち上げメンバーとして入社。IELTSの普及、試験会場の拡大、パートナーシップ構築を牽引。現在も毎年IELTSを受験し続ける、自他共に認める“IELTSオタク”。受験生に最新情報を届けることを大切にしており、公認教材の執筆にも携わっている。
IELTS ExpertColleen Matheiuさん米国ミシガン出身。ミシガン大学にてフランス語と国際学の学位を取得。在学中に交換留学で来日し九州大学で日本語と文化を学ぶ。2005年より福岡在住。IELTSのエキスパートとして英語学習者への指導、サポートを行う傍ら、ナレーションや翻訳、ラジオDJなど多方面で活動。IDP Education IELTS公認模試のスピーキングテスト作成、解説に携わる。
スピーキングテスト対策についてのよくある間違いとその対策スピーキングテストでの具体的な解答のコツスピーキングスキル向上のためのヒントスピーキングテストで公平な評価をするための取り組みまずは好きを見つけて実践しよう!英語学習者へのメッセージ
スピーキングテスト対策についてのよくある間違いとその対策
Colleenさんは、まずは特に日本人の方に多いと思われるスピーキングテストでの間違いについて指摘しました。
① 英語思考をせず、日本語で考えてしまう
Colleenさん:スコアが6.0前後の方と7.0以上の方との差は「(解答に)少し間がある」ことです。頭の中で日本語で考え、英語に翻訳する作業をしてしまっているんです。
7.0以上の方は何を言うか考えている様子はなく、思いついたことを自由に話しています。つまりはもっと「英語で思考」しましょう、ということです。英語で質問されたら、すぐに英語で考えるように意識してください。
② 完璧な英語を使おうとしすぎる
Colleenさん:完璧な英語を話そうとして、かえって言葉に詰まってしまったり、不自然な話し方になったりすることはありませんか?ネイティブスピーカーでさえ、常に完璧な英語を話しているわけではありません。私も英語で教えているときに間違えてしまって”Excuse me, give me a second”なんて言ってしまうこともあります。
間違いを恐れず、積極的に話すことが上達への近道です。
③ 難しい単語を無理に使おうとする
Colleenさん:語彙を増やそうと多くの単語を学ぶのは素晴らしいことです。最近はChatGPTなどでも多くの単語を学べます。ただ、覚えた単語を無理に使おうとして、文脈に合わなかったり、不自然な印象を与えてしまったりすることがあります。
普段着ている服と違うブランドの服を着るとき、すぐにはうまく着こなせないのと同じで、自分が本当に使い慣れていない単語は不自然に感じます。
自分が本当に理解し、使いこなせる単語を使って、自然に話すことが大切です。
④ 早口で話そうとする
Colleenさん:「早口 = 流暢さの証」ではありません。むしろ早口によって発音が不明瞭になったり、文法的なミスが多くなってしまうリスクの方が高いです。
落ち着いて、ゆっくりと、自分のペースで話して大丈夫ですよ。
⑤ 試験官の顔色を伺いすぎる
Colleenさん:緊張のせいか、試験官が何を考えているのかを気にするあまり上手く言葉が出てこない、という方もいます。
試験官は英語力を評価するためにいますが、実はあなたの英語力を最大限引き出したいと思っています。心の中では応援しているので、ぜひ安心して臨んでください。リラックスして、試験官との会話を楽しむくらいの気持ちで臨むことが大切です。
スピーキングテストでの具体的な解答のコツ
続いて、スピーキングテストでハイスコアを獲得するために重要なポイントとして以下の点を教えてくれました。
① 言い換え(パラフレーズ)を意識する
Colleenさん:同じ単語や表現を繰り返さずに、類義語や異なる表現を使って話すことで、語彙力や柔軟性を示しましょう。例えば、“bus”は“public transportation”に、“commute”は“take the bus”に、といった言い換えができますよね。
ただ、先ほども言ったとおり、自分のものにしていない単語を無理に使うのはNGです。
② 自信を持って話す
Colleenさん:文法や語彙に自信がなくても、堂々と話しましょう。評価基準の「Gramatical range and accuracy(文法知識と正確さ)」では、スコア6~7でも多少の文法ミスは許容されています。ネイティブでも言い間違えたりすることがありますから。
間違えないこと以上に、あなたができていることをしっかり評価してもらうことの方が大切です。一方で、自信なさそうに小さい声で話したり、頻繁に言葉に詰まってしまうと「Fluency and coherence(流暢さと一貫性)」のスコアへの悪影響が出てしまう可能性が高いです。
完璧な英語を話そうとするより、伝えたい内容を相手に理解してもらうことを意識してください。※
IELTS Speaking Band Descriptorsには、スコア6.0や7.0の水準においてもある程度の文法ミスが許容されることが記載されています。
③ Part 2のトピックカードに書かれた4つの点は、あくまでヒント
Colleenさん:Part 2のトピックカードに記載されている4つの点は、あくまで話のきっかけやアイデアを提供するものです。“You should say”と書いてはありますが、必ず4つの点について言及しないと減点される…というわけではなく、話の展開を補助するためにあります。
“You should say”の前に書かれているトピックに沿って話を広げていくことが最も重要です。2分間途切れることなくトピックに関連した内容を話すためには、単に質問に答えるだけではなく、理由や具体例を付け加え、自然な会話を続けなければなりません。
まずはひとつの点をヒントに、できる限り深く掘り下げて話してみてください。その後、次のポイントに進んで「あ、もうこれはさっき話した内容だ」となってしまっても、“As I mentioned before,”と言って、自然な流れで話を続ければ大丈夫です。
④ Part 3は試験官とコミュニケーションをとりながら考える時間を作る
Colleenさん:Part 3はより抽象的、分析的な質問になるため、難しいと感じる方は多いです。
質問がすぐに理解できなかった場合に聞き返す、繰り返してもらうといったことは、考える時間を作る上で有効なテクニックです。質問を別の言葉に言い換えて繰り返すのも自然ですね。「私はあなたの質問を理解しています」というアピールにもなります。“Let me think.”や“Oh, that’s a difficult question.”、“I’ve never thought of that before.”と言ったフレーズを使う人も多いと思います。
⑤ 物語を作る、そのために身の回りや世界に関する知識を持つ
Colleenさん:スコアが7, 8, 9と高くなるほど、一般的な知識やグローバルな知識を持っている人が多いです。さらには「どう上手に嘘をつけるか」も大事。つまりは解答のために“物語を作る”ということですね。
自分の経験だけで解答できればいいのですが、それだけでは難しいこともあります。時にはテレビで見たことや誰かから聞いたことを自分のものにして、物語をつくる方が簡単です。IELTS試験の評価対象に「解答は真実であるか」という点はありません。
求められている解答ができていれば、それが必ずしも本当のことではなくても問題ないんです。
スピーキングスキル向上のためのヒント
スピーキングスキルを高めるために、日頃から意識するべき学習時の心がけについても教えていただきました。
① 間違いを恐れずに積極的に話す
Colleenさん:「恥ずかしいから英語が話せない」という考えは今すぐ捨ててください!その考えが自ら壁を作ってしまいます。日本人以外の英語が母国語ではない国の方と話す内容を聞いていると、彼らは正確さにはこだわらず、自信を持って話しています。
こういった考えは特に若い学生の方に多いと感じていて、つい「そんな考えはやめなさい」と注意してしまいます。90歳近い方に英語を教えたことがありますが、彼は“My English is terrible.”と言うものの、“I’m shy.”や“I can’t speak English.”などと言ったことは一度もないんです。このような心がけが大切ですよ。
② 完璧主義にならず、コミュニケーションを楽しむ
Colleenさん:完璧な文法や発音にこだわらず、相手に自分の意思を伝えようとする積極的な姿勢で挑みましょう。特に日本人にとって英語は教育カリキュラムの一部であり、文法構造に囚われているように感じます。
また、何か趣味を始めようとしたときにはまず全ての道具を一式そろえてから…という方が多い印象もあります。英語においても、全てを完璧にしてから話そうとするのではなく、「自分の好きな英語の一面」を見つけて、まずは行動してみてください。
スピーキングテストで公平な評価をするための取り組み
IELTSのスピーキングテストは試験官との対面式で行われるため、「評価の公平性」について不安を感じる方もいるかもしれません。テストで公平な評価をするためにどのような取り組みを行っているのかについても伺いました。
市川さん:試験官は定期的なトレーニングにより、評価基準を常に最新の状態に保つように努めています。全てのスピーキングテストは録音されており、評価の質と公平性を担保するための仕組みがあります。また、試験官は各Partを定められた形式・時間に沿って進めることが義務付けられているんですよ。
Colleenさん:例えば、Part 1では同じトピックに関する質問が徐々に難しくなったり、よりオープンな質問になったりする…といった工夫がされています。
市川さん:一方で、試験官は相手の状況を見ながら、許容される範囲で少し話すスピードを変えたりすることもあります。特にPart 3は問題が難しいので、受験者のレベルを把握しながら、必要に応じて使う語彙の難易度を受験者が理解できるレベルに調整するなど、柔軟に対応します。
私たちは受験者を平等に評価していますが、同時に受験者が英語を話すサポートもしています。AIに向かって話して評価するテストと、私たちのテストとの大きな違いでもあります。
Colleenさん:試験官は、皆さんが持てる力を最大限に発揮できるようサポートしようと考えています。リラックスして、コミュニケーションを楽しんでください!少しユニークな服装で来たからといって減点されるなんてことはありませんから、安心してくださいね。
まずは好きを見つけて実践しよう!英語学習者へのメッセージ
最後に、日本で多くの英語学習者を見てきたColleenさんに、IELTSスコアアップに伸び悩んでいる方、そしてこれからIELTSに挑戦する方に向けて、力強いメッセージをいただきました。
Colleenさん:日本人の英語学習者によく見られるのは、日常生活で英語を話す機会がないということです。ですから、
何よりまずは実践あるのみです!英語で考える習慣をつけ、英語を使う機会を積極的に作っていきましょう。音楽でもスポーツでもアニメでも、何でも構いません。自分が興味のあることと結びつけることで、学習はより楽しく、継続しやすくなります。
英語学習は、時には長く困難な道のりかもしれません。しかし「自分は英語が話せない」という思い込みは捨ててください!諦めずに努力を続ければ、必ず成果は現れます。間違いを恐れず、自信を持って飛び出してみてください!
まとめ
今回のインタビューを通じて、IDP Education IELTS公認模試が、本番を意識した実践的な練習と、詳細な解説を通してスコアアップを実現する非常に有効な学習ツールであることを知ることができました。また、IELTSエキスパートであるColleenさんの貴重なアドバイスは、特にスピーキングテストの対策において、受験者にとっての大きなヒントになると感じました。
本記事を参考に、ぜひ日々の学習に積極的に取り組み、自信を持ってIELTS試験に臨んでください。皆さんの努力が実を結び、目標スコアを達成し、世界への扉が開かれることを心より応援しています!
市川さん、Colleenさん、インタビューをお受けくださりありがとうございました!
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